設計の作法 of ザイソウハウス

zaiso_k80_line.jpg

title_sekkeinosahou.jpg

どんな人が住むかということが明らかになっている、いわゆる注文住宅の家づくりにおいては、当然のことながらその住まい手を強く意識したものになります。そう書けば、住まい手の要求や希望通りに設計していくと思われるかもしれません。
でも、住まい手の要求通りに設計しても、それが本当に住まい手に深い満足を与えられるかといえばそうではありません。住まい手の要求や希望はもちろん大事だし、何より重視するべきものですが、そこを中心にしていかに広く、そして深く思慮した設計を行うかが住まい手の満足度を決めるのです。
そしてその満足感は、1年に1回感じるようなものではなく、日常の暮らしを積み重ねることによって生まれるものだと考えます。そのために、私たちは人の暮らしがどうあれば快適なのかということをまずはしっかりと理解し、その上でそこに暮らす家族の個性や価値観にきちんと対応できるような住まいのあり方を練っていきます。
住宅の設計には、非常に多様な“求められるもの”があります。予算や敷地の特性などの条件を踏まえつつ、その“求められるもの”についての「最適解」を導いていこうとするのが、ザイソウハウスの設計における基本的なスタンスです。

敷地を読む=外を知る。
家で過ごす人は、必ず「外にあるもの」を感じています。光、風、熱、匂い、窓から見える景色、音などを感じながら過ごしています。それが適切な状態にあるとき、人は心地よさを感じます。また逆に不適切な状況が生じれば、人は不快と感じます。この振り子がどちらに傾くような住まいにするか?それは住宅設計におけるもっとも基本的なテーマになります。
そのテーマにきちんとした答えを出すには、「敷地を読む=外を知る」という作業が不可欠です。「外にあるもの」を空間的に、また時間軸で把握することで、「この敷地のこの場所には太陽の光や風がたくさん通る」「この風景は楽しむべき価値がある」「できる限りこの音は遮断したい」というようなことが見えてきます。
こうした情報を整理していくと、その敷地の中での適切な建物の”概要図“が描けるようになります。その概要図とは、建物の位置やおよその形を示すものです。こうした作業は「配置計画」と呼ばれ、それは建物の概要を決めるものであっても、その後のプランニングにとても大切な情報を与えることになります。プランニングはただ機能的な側面だけで考えるものではなく、外と内とのつながりを視野に入れ、総合的な“心地よさ”を追求する作業だからです。

身近な自然を享受する「庭」
私たちが配置計画を行うとき、「庭」というものを強く意識します。庭はその敷地内につくることができる“自然”であり、その役割はとても大きいからです。
人は樹木や花、それに寄せられて集まる鳥たちを眺めるとき、深いやすらぎを感じます。とくに日本人は四季の移ろいをそこに見ることに静かな喜びを見出します。都会で建てる家だからこそ、自然を暮らしのすぐそばに置くことが大切だと思うのです。
また庭にある植物たちは、光、風、熱、視線といった「外にあるもの」をうまく調節してくれます。庭によって建物を外に開き、光を入れ、風を呼び込みながら、そこにある樹木や草花がそれをやさしく調節して家の中に採り入れてくれる…。
最良の心地よさを追求するために、私たちはそんな「庭」の価値を認識し、建物と一体のものとして庭を設計していきます。

庭.jpg造園図HP用.pdf

図面をクリックすると拡大します
ページトップへ

温かく人を迎える「玄関、アプローチ」
家は街並みの一部です。街並みの中に住まいがあり、また住まいが街並みをつくる。その意識をもって私たちは住まいを設計していきたいと考えています。
そのとき、すぐ前に述べた庭がとても大切になってくることに気がつきます。庭にある自然はそこに住む人だけではなく、近所の人や通りがかりの人の心も温かくしてくれます。また、外観についても街並みに配慮することを忘れないように…。
その外観の一部となる玄関とアプローチ。それらは住まいの“顔”となることはもちろん、家族や来訪者を温かく迎えてくれる場所になります。家を出入りする人たちにその自然の豊かさを感じてもらえるよう、庭と一体に計画する。もし玄関を道路近くに配置せざるを得ないような場合でも、蛇行させたりクランクさせたりしてアプローチを豊かにする。
私たちはそんなことを大切にしながら、玄関やアプローチのあり方を考えていきます。

暮らしの基本形である「動線」
日々の暮らしにある「静」と「動」。その両方を意識してプランニングをしていくことが大切です。どちらも目指すのは“心地よさ”ですが、それを達成させるときの視点は大きく異なります。
「静」の時間をつくるときには、目、耳、皮膚といった感覚器官で感じる光や音、風や温度などをいかに心地よくするかを意識しますが、「動」の時間ではいかにストレスなく様々な“動き”できるかどうかを考えることになります。動きの流れをつないだものを「動線」と呼び、プランニングではその動線パターンを分析し、様々な配置を決めていきます。
そこで私たちが意識しているのが、回廊式のような複数の動線が描けること。動線が一方通行にならないようにすること。そうすることで効率のよい動きの流れが生まれ、家事や毎日の暮らしにある動きがスムースになります。
またリビングなど「静」の時間を過ごす場所を横切るような動線は極力控えています。こうした配慮は「静」と「動」の両方を意識しながらプランニングする姿勢があってこそ気がつくものです。

kurashi_dousen.jpg

 図面をクリックすると拡大します

ページトップへ

「開口部」のチカラ
建築の世界では窓を「開口部」と呼びます。ー外に開いた口ーきっとこう呼んだほうがその役割が明確になるからなのでしょう。
その開口部からはいろんな「外にあるもの」が家の中に入ってきます。だから「1.敷地を読む=外を知る」のところで書いた「快適、不快の振り子がどちらに傾くか?」を決めるとても大切な部分になります。
光、風、熱、視線や風景…。こうしたものが開口部からたくさん入ってくればよいわけではありません。窓を大きくたくさん設ければ快適になるわけではないのです。
いかに外と内をつなげるか?いかに「開放する/遮断する」の調節力を備えるか?敷地を読んで外を知り、そのあたりを考え抜きながら、窓の位置、大きさ、性能、窓につける付属部材などを決めていくのが開口部の設計であり、それはとても奥の深い作業です。

配置を考える「収納」
収納計画の最大のポイントはその絶対量ではなく「配置」。なぜなら、収納に入れる“モノ”は暮らしの動きの中で取り出したり、仕舞ったりするからです。とくに家事や毎日の決まった動きの流れの中にうまく収納を配置することが重要。だから収納計画は動線と一緒に考えていくことになります。
例えば、玄関廻りなら、靴の収納の他にコートなどや子供の遊具なども収納できるようにしておく。洗面室は実に多くの機能が必要とされるので、小物類の他にも、リネン庫の様な収納を設ける。ダイニングなら、子供が勉強する文房具や本などを仕舞える場所を用意する。
こうした工夫や配慮によって、毎日の暮らしが本当に快適になるのです。
そんな計画を基本に、季節の変化によって入れ替わる衣類や寝具、暖房機器などの保管場所を適切に確保し、さらには「どうしても残しておきたいもの」などの最低限のストックも考えていきます。
また収納は室内の内観を左右する場所でもあり、ザイソウハウスがつくる「木の家」と調和するオリジナルな「木の造作家具」を提案していることも、私たちの収納計画の大きな特徴になっています。

「素材」は優しく
私たちが住まいで大切にしているのはやすらぎ、落ち着き、温かみといったもの。そこでは「素材」も大きな役割を果たします。室内空間の中にどんな素材を組み込むかによって、視覚的な印象、匂い、肌で感じるものなどが変わってきます。
なぜ無垢の木を使うのか?それはその自然な姿に優しさを感じるから。身体を刺激するような成分が少ないから。香りが違うから。なぜ床材には針葉樹を使うのか?断熱性があって暖かく、柔らかく足になじむから。なぜ壁に珪藻土を使うのか?その素朴な素材感が温かいから。自然の仕組みで湿度を調節してくれるから。そしてこうした自然素材は時間の経過とともに味わいを増していくところも大きな魅力。
こんな素材は、確かに傷がつきやすく、メンテナンスも少々面倒かもしれないけれど、私たちは自然素材がもっている特徴、価値をどうしても見過ごせないのです。

設計の全て「寸法」
設計図面には寸法が書かれています。おそらく、建築関係者でなければその寸法を見てもそれが意味するところをすべて理解できないでしょう。もちろんその寸法は施工する立場の人たちへの情報であることは間違いありませんが、そこには設計者の知識や感覚を総動員させて結論づけた表現があるのです。
天井高、その空間の縦横比、建具の大きさや位置、階段の踏み板の奥行き、ダイニングテーブルと壁との距離…。設計図に記載されたあらゆる寸法に意味があります。その住まいとしての“最適解”が寸法に表現されています。そして設計者の試行錯誤と苦悩がそこに垣間見えます。
寸法は住まいの質を大きく左右する。そのことを知っているザイソウハウスの設計者たちは、目の前に与えられた“課題”に真摯に向かい続けます。

居心地のよい空間をつくるということ
「家にいる時間がとても楽しくなった」「暮らすほどに“そうしたこと”の意味に気づかされる」。こんな住まい手の言葉を聞くことは私たちの最高の喜びです。
私たちが追い求めているもの、最大の努力を払って実現しようとするものを表現するもっとも近い言葉は、たぶん「居心地のよさ」です。こうした言葉を寄せてくれる住まい手は、居心地のよさのどこかの一部を感じてくれているのでしょう。
居心地のよさをつくる要素はものすごくたくさんあると思います。その要素がどのように実現され、組み合わさればその住まい手に満足を与えられるか?それを追い求めるため、私たちは科学を理解し、数値化できるところは数値化し、直感を磨き、様々な本を読み、住まい手の声を聞き、それを「設計」という具体的な“かたち”にする作業に落とし込む努力を続けています。